愛されジョーズ

music writer 上野三樹

世界遺産とルーツを辿る旅。その④帰れない編

世界遺産とルーツを辿る旅」シリーズも長くなってきましたので、皆さん飽きてきてる頃だと思いますが、最後に自戒を込めて書いておかなきゃいけないことがあります。

事件が発覚したのが広島旅行3日目、最終日のお昼。みんなで広島駅で軽くランチしてから、父の生誕の地へ向かおうと集合した時のこと。両親がお手洗いに行くというので待っていたら旦那からLINEが。「こちらは今から出ます。鍵あるよね?」と。旦那は広島から帰る私たちとは入れ違いに、この日は福岡出張でゆずの福岡ヤフオク!ドーム公演を観て一泊するスケジュールになっていました。旦那いわく、出発前に犬の散歩をしながら悪い予感がしたそうです。私はカバンやリュックの中を探しながらも「鍵あるよね?」の文字を見た時から「やっちゃったなー!」と思っていました。

家の鍵は自転車の鍵と一緒にピンクの小さなキーケースに入れてあるのですが、この旅で一回もキーケース、見てない。持ってきてない。だって家を出るとき、自転車使わずタクシーだったから鍵いらなかったし、旦那が見送ってくれたから鍵いらなかったし。失くしたのではなく持ってきてないことは瞬時にわかりました。めちゃくちゃショック。どうしよう。そのLINEもすぐ見れてれば良かったのだけど既に20分くらい経ってて、旦那に慌てて電話をすると既に電車の中。羽田空港に向けて出発してしまっています。仕方がないので考えて、なるべく迷惑をかけないようにと、鍵は持ってないということと、こう伝えました「品川のホテルで今日は一泊します。明日の朝、(旦那が)帰京したら鍵をもらいに行きます」と。すると返ってきた答えはこうでした。「品川のコインロッカーで鍵を預けられるか見てみます」と。なるほど、コインロッカーに鍵を預けるという方法が残されているのですね。

結果的に品川のコインロッカーはいっぱいだったみたいで、羽田空港のコインロッカーに旦那が家の鍵を入れてくれて、そのコインロッカーがある場所とコインロッカーの番号、更に中身を取り出すときの暗証番号を写真で送ってくれました。手元の鍵でガチャッとするタイプのコインロッカーでなければ、暗証番号さえわかっていれば別の人でも開けられますもんね。これ、ピンチの時に覚えておくといいかもです。

でもよりによって旅行に出かけて、しかも旦那も出張で、そんな時に家の鍵を忘れるとか、あんまりそういうことって重ならないですよね〜。でも私そういうこと、よくあるな。1日で家の鍵をふたつ失くすという信じられない地獄も味わったことあります。ええ、その度に旦那はトラブル対応させられて、娘は付き合わされています。

広島駅で、まだ予定はいっぱいあるのに頭の中が旅行どころじゃなくなっている最中に母がこんなことを言いました。「あなた、お父さんに似てるのよ(笑)」って。違う、違う!父さんみたいに全く何も考えてなくてまるで予定も把握してなくてお母さんに頼りきりな人と一緒にしないで!私はここに来るまでに本当に細かく行程表を作るほど慎重にやってきたのに!と思いつつ、どんなに準備をしても結局、家族を振り回してることには変わりないな。家の鍵だけは忘れちゃいけないよなあ、と反省。

子連れで広島から品川まで4時間近く新幹線に乗って、そこから更に羽田まで行って鍵を取ってから西東京にある自宅まで帰宅するの、正直なかなか心が折れそうでした。飛行機で帰ることも考えたし(着いたらコインロッカーのある羽田だからね)、やっぱり品川あたりのホテルでもう一泊した方が楽かなとか色々と考えました。でもそうすると今度はお留守番している犬が可哀想だし……。考えすぎて、品川から京急線に乗って羽田空港の第2ターミナル(終点)で降りなきゃいけないのにボーッとして降り忘れて、電車がそのまま反対方向へと進み始めた時は泣きそうになりました。このままだと品川に戻ってしまう……!3歳の娘も事態を察したらしく「ママがずっとすわってるからだよ!」と怒られました。第1ターミナル駅で降りて、再び反対方向の第2ターミナル駅行きの電車に乗り換え移動するの、これまた面倒くさいわけですよ。ベビーカーだからいちいちエレベーター使わなきゃだし。ようやく辿り着いた羽田空港、コインロッカーを探して無事に開けて、広い空間の中にぽつんと家の鍵を見つけた時の達成感を無駄に噛み締めました。今年最大級のイベントとしてとても楽しみにしていた広島旅行でしたが凄まじいオチが待っていて、両親や義母にも心配かけちゃって申し訳なかったです。私らしいと言えばそれまでなんだけど……。

ついでなのでもうひとつ書くと。旅から帰った翌日、今度は携帯電話を渋谷の某ビルのトイレに忘れるという事件を重ねてしまいました。その日は取材で、現場に到着してから携帯がないことに気がついて、「某ビルのトイレだ!」と思ったんだけど既にアーティストも到着してて取りに行く時間もなかったのでインタビュー終了後に探しに行ったけど、置き忘れた場所には既になくて。携帯電話をなくすとビルの防災センターとか、交番に遺失物届を出さなきゃいけないのですが、その前に大事なのは自分の携帯番号以外の連絡先(電話番号)がないとやっぱりダメなんですね(当たり前か!)。でも何か気が動転してるとそんなこと頭が回らないですよね〜。

うちは家の電話をもう使ってないし、そもそも自営業だから会社の電話もないし、旦那の携帯番号も覚えてないし、ということで104で旦那の会社の電話番号を調べるところから始まりました。しかも公衆電話から104の番号案内にかけると「では今から番号をご案内しますが、100円玉を入れていただいていますか?」と言われます。残り数十円とかしかなかった場合、かけ直さなきゃいけないのです。いったん電話を切ってコンビニに行って、水でも買ってお金を崩しますよね。100円玉を入れて再び電話で番号案内をお願いして、そこからまた会社で旦那を呼び出して、取材で出てるかと思いきや奇跡的に電話に出てくれたので、「携帯電話をなくしたので番号を教えてください」と言いますよね、もう本当はそんなこと言いたくないですよね。謝罪しかないですよね。鍵に続いて、今度は携帯ですから。教えてもらったその番号を遺失物届けに連絡先として書いて、再び防災センターと交番に届けて、祈るような気持ちで渋谷を後にして帰宅しました。

ちなみに携帯電話会社ごとに自分の電話が今どこにあるか調べてくれる番号というのがあって、それは交番の方が教えてくださったんですけど。そこに電話して調べてみると、めちゃくちゃ早口な機械の音声で「シブヤクドウゲンザカイッチョウメ……(聞き取れない)にあります」みたいなことを言ってたので、これは見つかるんじゃないかな、誰かが旦那に連絡してくれるはず!と思ったんですよね。だって私、ドジはするけど奇跡は起こす!をモットーに生きていますから。嘘です。(小声で)周りの人に迷惑かけてます。

1時間ほどして帰宅してPCを開くと旦那から「携帯を保管してくれてる人から連絡があったので今から取りに行きます」というメールが届いていました。ありがたい……!その日の夜に携帯電話は無事に手元に戻ってきました。某ビル内のショップの店員さんが拾ってくれていたようです。感謝。

というわけで日々、色んな教訓を得て、トラブル回避の技を(主に旦那が)身につけながら生きています。とにかくスマホを紛失した時は、まずコンビニで水を買って100円玉に崩して、それを飲んでいったん落ち着く、というのがいいと思います。最後は失敗談続きですが広島旅行記これにて終了。(完)