愛されジョーズ

music writer 上野三樹

いまさら『魔法少女まどか☆マギカ』を観て思ったこと。

公開中のアニメーション映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。大ヒット映画『君の名は。』的なものを期待して観に行った人からの評判がイマイチのようである。プロデューサー・企画はどちらも川村元気さんによるものだし、制作サイドも比較されることをわかっていて「でも『打ち上げ花火〜』は3年前から準備してたんですよ、いわゆる二番煎じみたいなものではないんですよ」といった発言を色んなインタビューでされている。私も正直、よくわからないのだ。『君の名は。』はアリで、『打ち上げ花火〜』はナシ、という感覚が。どっちも同じじゃん(←乱暴)、と思ってしまう。

そこでアニメに詳しくないので完全に今さらなのですが、『打ち上げ花火〜』と同じ布陣である新房昭之監督×アニメーションスタジオ「シャフト」による代表作『魔法少女まどか☆マギカ』の劇場版をDVDで観てみた。

美しいアニメーションの世界と、愛らしい個性豊かなキャラクターたち、そして濃厚なストーリー展開で、すぐさま引き込まれてしまう。特に、異世界×異世界をコラージュした悪夢のようなシーンの描写が独特で、初心者にはダークでオルタナティヴな印象を受ける。こういう表現も、新房監督×シャフトのタッグならではなのだろう。『打ち上げ花火〜』でも、物語の中の主人公たちがタイムリープする度に少しずつ景色が異世界へと侵されていくような仕掛けが、このアニメの見どころでもあるのだ。

もしかしたら『君の名は。』を絶賛していた人たち(小学生や中高生)は、過去にジブリアニメや『アナと雪の女王』などを観てきた層で、『打ち上げ花火〜』にはちょっと違和感あるのはこの辺だったりするのかなと。逆に『魔法少女まどか☆マギカ』が好きな人たちが『打ち上げ花火〜』を観ると(それが賛か否かは置いといて)、どんどんディープになっていく世界観にも親しみというか理解があってすんなり楽しめるのでは。

 

打ち上げ花火、『君の名は。』サイドから見るか?

魔法少女まどか☆マギカ』サイドから見るか?きっとそれが問題なのです。