愛されジョーズ

music writer 上野三樹

お花見は好きだけど地べたに座るのが嫌。

3月の終わり頃はまだ冬のように寒い日もあって、お花見のことなど考えられないのだけれど。それでもやっぱり4月に入るとそれなりに温かくなって、やっぱりきっちり桜が咲く。毎年わかってはいるけれどイマイチついていけないことのひとつだ。

「あ、桜が咲いてる!」と思った時の嬉しさこそがお花見の醍醐味なのかなと思う。その時に「ほんとだ咲いてるね!」と分かち合える人がいて欲しいから、日本人はお花見をわざわざ計画するのだろう。桜の花が綺麗かどうかは実はあんまり関係ない。綺麗さで言えば、もっと綺麗な花はいくらでもある。「ほんとだ咲いてる!」この確認こそが大事なのだ。

お花見というのは普段は仕事だなんだで忙しい大人たちが友人たちと集まるとっておきの口実、恒例行事としても大いに機能している。そこは私もとても大事だと思うのだけれど、やっぱりちょっと苦手かもと思う部分が、ビニールシートを敷いて床に座ることなんですねえ。だって地べたに座るのってまだこの季節は寒いし、ずっと座ってるとお尻痛いし、スカートでもパンツでも何だか気になるし、飲み物がこぼれたり食べ物が取りづらかったりするし。お花見でなくても子供と公園でお弁当を食べる時なんかはそうするけれど、普段からそういう機会も増えたこともあって、今年はカフェでお花見をすることにした。何年か前に飯田橋駅近くのCANAL CAFEで夜にお花見をしたことを思い出し、近くに住む友人を誘って子連れお花見ランチです。

飯田橋駅から1分というロケーションも抜群に良いけれど、もともとボート場だったところをイタリアンレストランにしたという外観もお洒落なCANAL CAFEはお堀沿いのウッドデッキで神田川を眺めながら食事ができる。その上、この季節はデッキにたくさんの桜がグイグイと枝を伸ばして咲き誇る。ビニールシートいらず、お弁当いらずのカフェお花見って本当にありがたい。このお店、ランチは予約できないということなので開店の11時半に行ってみたところ、お店の入り口から川沿いに既に大行列が。とても気持ち良く晴れていてあたたかい日だし、桜も見頃だし、みんな考えることは同じだな〜と思いながら、やっとの思いで最後尾へ。「これ、200人位はいるんじゃないの?」「並んでもお店に入れるの夕方とかじゃないの!?」と不安に思うほどの大賑わい。けれどお店のオープンと同時にその列は少しずつ前に進み始めたので、試しに並んでみることにしました。「ここで満席です」なんて途中で言われたりしたら諦めてどこか別のお店を探したりするんだろうけど、列はコンスタントに進み続けていたし、ウッドデッキのテーブルにはまだまだ空席が見えたし、桜を見ながら友達と話しながらだったので、長い列に並んでいることがあまり気にならなかったな。しかしようやく席に着いた時には、なんと13時。1時間半も並んでたなんて!そんな感覚なかった!この現象、何かに似てるなと思ったらディズニーランドのアトラクションと同じですね。あんまり苦じゃなく、1時間とか何故か並べちゃうんだよな。絶対楽しいことが待ってるってわかってるからなのかな。

美味しいグリーンカレーやパスタなどを食べながらのカフェお花見、とても良い時間でした。入り口で食事をオーダーするのに時間がかかることが行列になっちゃう要因のようで、並んでいればウッドデッキも広いし中はそんなに混雑してないので行かれる方は怯まずに並んでみてください(笑)。

ちなみに30分600円でボートも乗れるんだって!

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ファンタジーの壁を突き破る、絵本『リサとガスパールにほんへいく』。

娘3歳がNetflixで好んで観ているアニメは『ろばのトコちゃん』、『うっかりペネロペ』、『ぼくチロ!』、『ふうせんいぬのティニー』など色々とあるのですが、中でもお気に入りは『おさるのジョージ』と『リサとガスパール』。この2作は図書館で絵本も借りてきて読んでいるほどです。アニメでは『おさるのジョージ』に出てくる動物たちの鳴き声がファニーだったり、『リサとガスパール』のまるでサンバのようにド派手な主題歌が聴けたりするのですが、絵本にはまた違った良さがそれぞれにあります。特に『リサとガスパール』は油絵のようなタッチで描かれているイラストが味わい深く、また、彼らはパリジェンヌなので遊んでいる街の雰囲気も何だかお洒落です。さすがアニエスベーとコラボするだけあります。

先日『リサとガスパールにほんへいく』という本を見つけたので読んでみたのですが、これが傑作でした。ある日、リサとガスパールがパパとママと一緒に日本にやってくることになったのですが、そこでおそらく京都を観光していると思われるシーンで日本人の「フクシマさん」という方が彼らを案内してくれます。メガネをかけていて身なりもちゃんとした礼儀正しい男性です。しかし「フクシマさん」はリサとガスパールによって大変な事態に巻き込まれてしまうのです。このまさかの出来事がまず最高に(シャレにならなくて!)面白いのですが、それでもリサとガスパールにとっても優しい「フクシマさん」の対応に心打たれます。日本人の誇りです(笑)。

絵本『リサとガスパールにほんへいく』の可笑しみは、彼らが「かわったにおいがするおべんとう」と日本食をおそるおそる食べたりするシーンもさることながら、『リサとガスパール』の世界に「フクシマさん」が加わることで(日本人である私たちにとって)急にリアリティが増すところではないでしょうか。彼らがセーヌ川のほとりで絵を描いているおじさんの邪魔をするような場面があっても、それは全然ファンタジーの範疇だったのに、お寺の中で「フクシマさん」が無理矢理スリッパをはかされたリサとガスパールの写真を撮ってあげている場面は何ともシュールにファンタジーの壁を突き破ってしまいます。そんなところも面白くて、最初の2〜3回は娘に読み聞かせてあげる時に笑いがおさえきれませんでした。

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死ぬほどずっと玄関のことばかり考えていたよ。

さて。4月に入り、娘が幼稚園の入園式を迎えるまでのわずかな春休みがスタートしたわけですが。なんと入園前にこれからお世話になる担任の先生による家庭訪問があるというではないですか。これまでの保育園生活では一度も先生が家に来るなんて事態はなかったので、幼稚園という新たな世界の入り口で先制パンチを食らうような衝撃が走ります。

しかもその家庭訪問というのは3日間にわたり午前と午後にわけて約25名ぶんの家を訪れるハードな行程のため、ひとりにつき「玄関先でご挨拶させていただきます」程度のものらしく、中に入ってお茶でもどうぞ的なものではない様子。「そのくらいならリビング片付けなくても大丈夫だし楽勝」と普通の家庭だったら思うはずですが、ウチはあろうことか、玄関先というのが今、一番厄介な場所でして。飼っているチワワのニーナさん(メス)が、私が娘を生んでからというもの、「私もかまって」アピールが激しくなってしまい、これ見よがしにトイレじゃない場所にウ●チをするようになったんですね。それで最近は「散歩連れて行け」の抗議も兼ねてる感じで玄関でウ●チをするようになり、仕方ないからトイレシートを玄関に敷いているんです。しかも宅急便のおじさんが玄関先に来たら「遊んで遊んで〜!」と走って飛び出しながらウ●チを蹴散らすという大惨事になることもしばしば。娘がこれから幼稚園でお世話になる担任の先生を、こんな玄関で家庭訪問していただくわけにいかない!というわけで気合いを入れて我が家の玄関を一大改革することにしました。そもそも玄関って、風水的にも良い運気を呼び込むための神聖な場所とか言いますしね。

というわけで、まずは玄関先にニーナさんの侵入をガードするための突っ張り式ゲートを今更ながら購入。これを廊下に取り付けてトイレは別の場所に移動することに。お洒落な壁紙もついでに購入し、明るい雰囲気にしたいところ。更にガタガタして使いづらくなっていたドアストッパーも新調。この際、シューズボックスの中身も綺麗にしてやろうと、1時間かけて棚に入っていた家族全員ぶんの全ての靴を外に出しました。ここ数年、色んな整理収納本を読み漁ってきましたが、大抵の本に「とりあえずタンスや棚に入ってるものを全部出せ!1ヶ所に集めろ!話はそれからだ!」的な指南がなされていますよね。キッチンやクローゼットでそれをやるのは超絶めんどくさいですが、ウチのシューズボックスはそんなに大きなものではないのでやってみることにしました。すると、靴の数はそんなに多いわけではありませんでしたが、とにかく「あんたなんでそこに居るの?」と問いたくなるものが出てくる出てくる……。自宅マンションにまつわる大事な書類、旦那が昔もらってきたのであろう記念品や写真、蚊取り線香などなど、全部別の場所に移動。そして玄関先で使うことの多い、ハサミやガムテープ、日焼け止めやエコバッグなどを置くスペースなどを作りました!何が入ってるかわかるようにテプラでラベリングもしました!素敵な奥さんぽい!

シューズボックス横に貼ろうと思っている壁紙が届いたら、そこに無印良品の棚を取り付けて花なんか飾ろうじゃないですか。そしてゲートでチワワをがっちり阻止して、ドアマットも敷いて(今まで全てのマット類をことごとく犬がトイレと認識するので敷いてなかったんです)、綺麗さっぱり完璧な玄関で家庭訪問のその日を迎えたいと思います。ここ数日、死ぬほどずっと玄関のことばかり考えていたよ。このタイトル何かに似てると思ったらクリープハイプのあれですね。

 

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『べっぴんさん』終了、全く走らない朝ドラヒロイン。

遂に朝のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』が終わった。このドラマの主人公は子供服メーカー『ファミリア』の創業者がモデルで神戸を舞台に繰り広げられるということもあり、興味を持ってずっと見ていた。私自身、神戸には親戚がたくさんいて、娘にとても可愛い『ファミリア』のお洋服やグッズをいただいたりすることもある。終戦後に子供たちのための服メーカーを立ち上げるという、そこにどんな物語があるのだろうと期待していた。しかし実際の『べっぴんさん』は“女性創業者の奮闘記”めいたものを期待していた者には少々、物足りなかったのかもしれない。主人公のすみれはとても穏やかな女性で、何かアイデアを思い付いても衝動的に走り出すどころか、『何か……何かな……』と口ごもる。思えば前回の朝ドラヒロイン『とと姉ちゃん』は、何かにつけて全力疾走していたイメージがある。妹のお弁当を届けるために橋の上を全力疾走していたシーンはとても印象的だったし、年老いた設定のラストシーンでさえ彼女は「原稿いただいてきます!」的な感じで走っていたのだ。しかしどうだ、すみれってほとんど走らなかった。夜中にデパートで作業していて館内に閉じ込められたりしていたが、その時も大して焦らず、朝まで寝ていた始末。走らない焦らない追い込まれない朝ドラヒロインだったのである。そのぶん観ている側もドキドキしたり手に汗握って応援したりする必要がなかった。すぐに結婚してしまったので恋焦がれるような想いすら視聴者に疑似体験させてはくれなかった。そのぶん、娘のさくらが東京に行くだの何だの家出&失恋騒動を盛り込んだものの、こちらとしては親目線でやきもきしただけで共感も同情もすることができなかった。このあたりはどうだったんだろう。さくらの恋愛よりも悦子様と小山のなれそめをちゃんと描いて欲しかったっていう声を見かけたけど(笑)、まあ確かにそうかもしれない。

想いが伝わるような誰かにとっての『べっぴんさん』を作りたい。すみれが幼い頃にそう志した時からじっくりゆっくりとそれを守り抜く、その人生を丁寧に追った。そして最後にすみれが語ったのは「一生の友達でいてくれてありがとう」、なのである。そっか、この作品が一番描きたかったのは4人の友情ドラマであり実はそれ以上でも以下でもなかったのかもしれないな、と。例えば現在『ファミリア』で働いている人が毎朝見て「よし、今日もがんばろう!」とか思うタイプのものじゃなかった、っていうの、何かむしろ面白い。
ちなみに35周年記念パーティの後に、さくらが小さい頃にお手玉にしてもらった小豆でお赤飯をたいて持ってくるシーンがありましたが。横で見ていた義母が「小豆なんて去年のものでも固くなってるわよ」と言ってました。栄輔さん……美味しくなかったんじゃ……。つっこみどころ満載ながら終わっていった『べっぴんさん』。私が好きなシーンは、クリスマスの日に靴屋の浅田さんがお店の前でひとりミュージカル風にクリスマスソングを歌ってくれたこと。あの場面は今思い出しても、心が温かくなります。

保育園生活の終わり。と、はじまり。

いつかこの“最後の日”がくることを想像するだけで涙が出そうだったのに、案外サラッとしたもんで、まだまだ実感が沸かない。昨日で娘の保育園での生活が終わった。生後3ヶ月から通わせたから、3年間、同じ保育園でお世話になった。今月からは幼稚園に入園し、入園式までの約1週間、初めての春休み期間に突入する。うちの保育園は、東京都が定めた認証保育園というもので、認可保育園ではない。認可保育園に比べると、きっと保育園料など高かったんだろうけど(認可が実際どれだけ安いのかは知らないけど、通わせてる方からちらっと耳にしたところめちゃくちゃ安いと感じた)、とにかく居心地の良い保育園だったので、途中からはもう認可保育園への申し込みすら放棄してまるっと3年間、同じところに通わせた。とても小規模で、狭いからこそ子供への目線が行き届いていて、かなり安心感があった。何より、先生たちが園内で子供たちに大声を放っているシーンを一度も見たことがない。もちろん、散歩とかで外に出て走り回る子供たちを追いかけたりする場面では「まてまてー!」とか「そっち行っちゃだめー!」とか大きな声で言うこともあったと思うけど、とにかく保育園の中では、みんな落ち着いて穏やかに子供に接してくれていた。どんな時でも。それはすごいことだなと思う。私も親として先生方の姿にかなり影響を受けたし心強かった。というわけで、この春から娘は幼稚園生活が始まります。まだまだ子育ても続くし私も年齢的に大きな節目を迎えますので、こうしてブログで日々のことを書き残して行こうと思います。たぶん、育児ネタもありつつ、毎日毎日、色んなふとした瞬間に「あれ?」「うわー、これ!」とか自分のアンテナが反応しているのに、それを言葉にできないまま過ぎていくことも多いので、そんなあれやこれやを綴って行けたらいいなと。とりあえず「愛されジョーズ」なんてはずかしいタイトルをつけてみました。糸井重里さんの「今日のダーリン」って、はずかしいからあえて付けたみたいなことをおっしゃっていたので、真似してみました。でも「愛されジョーズ」な誰かのことや、色んな作品のことを取り上げていきたい、そんな想いも含まれています。ではよろしく。