愛されジョーズ

music writer 上野三樹

熱海にて。

11日木曜日、一色くんのお別れ会に行った。たくさんのバンドマンや関係者やファンが集まり、満月の下で彼の旅立ちを見送った。見送ったら、これで本当にさよならなんだと、信じられない気持ちになって涙が止まらなかった。帰宅したらパパと一緒に遅くまで寝ないで待ってくれていた娘が一輪のカーネーションをくれた。「ママいつもありがとう」「いつもご飯作ってくれてありがとう」「いつもお洗濯してくれてありがとう」と、まるで台本通りのように上手に言ってくれた。張り詰めた気持ちが少しだけ緩んだ。12日金曜日。久しぶりにスネオヘアーさんにお会いした。スタッフさんとの打ち合わせだったはずだけど結局、ご本人とのインタビューのような時間になった。時を経て、また色んな話ができた。実は今年1月に、つばきのイベントでばったりスネオヘアーさんにお会いしたのだった。その時に「上野さん、僕まだ音楽やってるんですよ!」と言われた(もちろん知ってます笑)。「15周年なんで、また何か書いてくださいよ!」って。今回の再びのご縁は、ここでの再会がきっかけだった。「一色くんが、繋いでくれたのかもしれないですね」とスネオさんは言った。お互いに生きて、ひとつのことを続けていれば、一度離れてもまた再び出会うタイミングもあると思う。色んな人と互いにそんな信念を持ちながらそれぞれに歩んで行けたらいい。永遠じゃないから。そして13日土曜日。前から楽しみにしていた家族旅行で熱海。写真は熱海城トリックアート迷宮館にて。なかなか良い表情!

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今日こんな曲/HYUKOH(ヒョゴ)「TOMBOY」

最近聴いている曲や気になっているアーティストを紹介していく「今日こんな曲」シリーズをはじめてみます。私がここ数日よく聴いているのは韓国のロックバンドHYUKOH(ヒョゴ)の「TOMBOY」。

 

youtu.be

1993年生まれの同級生で結成された韓国の4ピースバンド、ヒョゴ。2014年の秋にデビューし、韓国の若者たちから絶大な支持を受けており、日本でも昨年サマーソニック2016に出演。6月7日にアルバム『23』の日本ライセンス盤が発売されるそうです。個性的なファッションや佇まいから「韓国のSuchmos」なんて紹介されたりもしたみたいですが、色んな楽曲を聴いてみるとどうやらそういうものでもなさそうな気が。韓国の多くの若者たちが抱えている社会への不満、就職難で色んなことを諦めながら生きている背景に彼らの率直な音楽が響いたようです。アルバムのタイトルは同級生である自分たちのその時の年齢で『20』『22』『23』などと続いており、もし音楽がウケなくてもジャケットを並べただけでも価値が出るようにと同じイラストレーターを起用しているところなども、何だか親しみが持てるというか、ロックバンドとして支持されるところなのかなと思います。

TOMBOY」はヒョゴの楽曲の中でも、日本人にも通じるワビサビを感じさせます。何より、歌詞に込められた想いが韓国語でもじんわりと伝わってきます。

(訳)

私、母さんの変わらぬ愛が気まずい

だからそうなのかな、いつも難しい

失うのが怖かった欲のなかにも

小さな可愛らしさはあった

 

今は幸せ だからかえって不安

嵐の前の海は いつも静かだから

火がついて燃え上がったら いけないじゃない

私は 愛を応援する

 小さな温もりを握りしめて、不安ながらも毎日の中で希望を持って生きようとする全ての人のための癒やしになるような歌です。だけどサビの部分のスケール感がスタジアム級の会場で聴いても気持ちよさそう。そんなイマジネーションを抱かせてくれるのも、ヒョゴというロックバンドの魅力と可能性なのでは。

 

 

つばきの一色くん。また会いたいな。お別れの会って何ですか。

つばきの一色德保さんが脳腫瘍のため、5月9日に亡くなられたそうです。

ニュースを見ても、こんな風に文字にしてみても全く実感が沸かなくて、虚しさや悔しさで心がいっぱいになります。新宿LOFTで行われた主催イベント「正夢になった夜vol.18」でライヴを観させてもらい、翌日にインタビューさせてもらったのが今年1月の下旬のこと。そこからバンドを活動休止して治療に専念し、最近では自宅で療養されているという話を聞いていたのですが。37歳、あまりにも早いお別れです。

一色くんの作る曲は、人懐っこさと同時に、誰にも触れられないような孤独感を含んでいて。それが、つばきというバンドのロックそのものでした。

衝動が持つ真っ直ぐな美しさや、切なくてどうしようもない夜や、誰かを想う柔らかな気持ちが詰まった楽曲は、たくさんのリスナーの心の宝物みたいな存在だったはず。

小さな希望を探して、前向きな想いをひたむきに歌うその姿と、病気になってからも弱音を吐かずに冗談ばっかり言いながらがんばっていた一色くん。たくさんのミュージシャン仲間やファンに愛された人柄は、これからも忘れることはないです。

「またインタビューの記事を書いてもらえるように、がんばります」って言ってくれてたのに、最後になると思わなかったよ。まだまだ形にしたいメロディや鳴らしたい音がたくさんあったと思うけど、またいつか、会った時に聴かせて欲しいな。

11日にお別れの会に行ってきます。

いざとなったら電話で相談できる家計簿。

実は昨年の秋から家計簿をつけはじめた。家計管理の本を読んで、まずはざっくりと年間計画を立てて1ヶ月に使える費目ごとの予算を決めることを知った。以上2点だけでも、いかにこれまでの私がお金に関していい加減に生きてきたかを察していただけるかと。お金って銀行にあるぶんが使えるぶんで、買いたいものはそこから使う。そんなクソ単純な考え方で、よく主婦業や母親業がつとまるもんだよね。うん、つとまらないんです。だから意を決して本を読んで勉強して、家計簿をつけたり、予算をたてたりしてお金の流れを気にすること数ヶ月、絶望的なことに気がついたのです。何故か毎月毎月、赤字だってことに。予算の範囲内で暮しているはずなのにおかしいなーと思って旦那に尋ねてみたところ、そもそもいただいている生活費の額を私が勘違いしていることが発覚。しかも数万単位で。私もさすがですよね、勘違いしたまま気づかなかった!「そんなことってあるの?」という主婦の方のご意見、わかります。あるんです(泣)。

というわけで、そもそもの年間予算、組み直し。そりゃあ家計簿つけてようが節約しようが赤字になるわな……。私は完全に心が折れて挫折してしまったのです。

それから数ヶ月。たまたま雑誌で見つけた、羽仁もと子さんという方が考案された家計簿というのをAmazonでポチリました。もう一度、がんばってみようと思ったのです。

速攻で届いたこの家計簿なんですが、113年もの歴史があるという佇まいから、“カリスマ家計簿”のオーラをバシバシに放っています。シンプルかつ伝統を感じさせるデザインの表紙、帯には「記憶より記帳が確か/つけましょう」のコピーが堂々と輝きます。そして更に裏表紙には「5つの特色」として、このように書かれています。 

1 この家計簿をつけていると、ひとりでに予算生活をまもることができます。

2 この家計簿をつけていると、月末にも年末にも、ほとんど計算機をつかわないで、生活費のどの費目も、一目でわかるようになります。

3 毎日、この家計簿に記入していれば、その日までの収支がわかるだけでなく、翌日の適当な支出額が示されます。

4 どんなに経済の下手な人でも、この家計簿をつけていると、しらずしらず一家の財政を健全にすることができます。

5 記入の仕方はごく簡単で、普通のこづかい帳と同じように、誰でもやさしくつけられます。 

この特色を唱えるだけで家計を余裕でまわせるような洗脳感すらありますね。よーし、がんばって家計簿のつけ方をマスターするぞ!と読み進めた矢先に、この「家計簿」とは別にもう1冊「家計当座帳」というのを買わなきゃいけないことを知ります。まずはこの2冊の出費が無駄にならないように、根気良く向き合いたいと思います。

あと、この家計簿(2017年版)を既に5月の今更ながら、買おうと思ったひとつに。

判らないことは「婦人之友社家計簿110番」へお電話ください。

という一文に感動したから。専用ダイヤルがあってお電話で質問できるようです。いざとなったら電話しよう!そう思えたら挫折せず頑張れそうですね(ホントか)。

 

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誕生日にディズニーシーで魂を取り戻した話。

子育てをしていると時々、自分の魂が抜けそうな感覚になることがある。例えば朝からテレビで子供が見ている『クレヨンしんちゃん』をボーッと眺めながら朝ご飯を食べている時。炎天下の公園で子供が遊ぶのを目で追いながら立ち尽くしている時。自分のやりたいこととか楽しいこととかそういう意志がどこにあったのかもわからなくなるような、まさに魂が抜けるような感じ。母親というのは時々そういう時間を生きている。

ゴールデンウィーク最終日の朝、「今日はどこに行くの?」と尋ねる娘に旦那が「じゃあどっか行くか」とネットで調べ始めた。きっと仕事なんだろうなと思っている私は旦那にあらかじめ細かく予定を聞くことはあまりないので「え、今日遊びに行けるの。へえ」って感じで行き当たりばったりなお出かけが始まることもある。そこで候補に挙がったのが「アソボ〜ノ!」という東京ドームシティ内にある家族連れ向けの施設で、おもちゃや遊具がたくさんある人気スポット。東京ドームシティ全体では全国の年間入場者数ランキングで上位に入っているのを先日テレビで見たばかりだし、今日はかなり混んでるだろうなというのは容易に想像つく。あと、広そうなボールプールとすべり台の写真を見た瞬間思ったのは「これ、絶対に魂が抜けるやつや……!」。〈注:もちろん私も子供と一緒に楽しもう!という気持ちは(最初は)あるんだけど、長時間エンドレスに遊び続ける、しかも大量の子供たちの狂騒の中で自分の子を見守り続けるうちに、ふと意識が遠のいて魂が抜けるイメージ〉何と言っても今日は大事な節目となる私の誕生日なのだ。誕生日に魂が抜けることだけは避けたい。というわけで旦那に「どうせ混むところに行くなら親も楽しめる場所にしない?」と提案。半ば無理矢理にディズニーシーに連れて行ってもらうことに。

思えば“ものすごいディズニー好き”ではないけれど20代半ばくらいから、何だかんだ、年に2〜3回はディズニーランドもしくはシーに行っていた。妊娠して子供が生まれてからは全然行けてなくて、それを考えたら4年ぶりくらいに夢の国を訪れた。夢の国はやっぱり裏切らない。バスタ新宿から高速バスで30分、天気は薄曇りで、死ぬほど混んでるってわけでもないし、かなりのディズニー日和。お陰様で家族と嬉しい誕生日を過ごしました。

子連れ初ディズニーはいつにしよう?と思う人も多いと思うけど、3歳にもなると「自分で歩きたい」と「疲れたからベビーカーに乗りたい」の意思表示と選択が可能だし、激しいのは無理だけどメリーゴーランド系のアトラクションやシアター系のアトラクションも楽しめるので、親ものんびり充実した時間を過ごせてちょうど良かったです。子供はエレクトリックレールウェイ(電動式トロリー)みたいな乗り物も大好きだし、アラビアンコーストではジャスミンのフライングカーペットや3Dメガネをかけて観るマジックランプシアターでワクワクな顔をしてたし、マーメイドラグーンでは小さい子が安心して乗れるコースター系もたくさんあるので、小さい子連れの方にもディズニーシーはおすすめです。

ていうかたぶん私はマーメイドラグーンが好きすぎるんだと思う。あの薄暗い海底のパラダイス、ミステリアスでファンシーで、ちょっと気味悪い世界が。行く度に思うんですよね、ああここで暮したいな、って(笑)。

 

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幼稚園ママみんな若い問題。

おやつに子供が食べていたポテトチップをちょっとつまんだら何だか胸やけがして、夜ご飯が食べられなかった連休の初め。その日から朝起きて何か食べるとまた胃が痛い……みたいな日が多くて、何だかアレを感じた。うん……アレよ……歳なんだなあって。今までこんなことなかったよなあって。

連休に入る前、幼稚園でクラスの茶話会というのがあって、そこであらためて自己紹介したり色んな行事の係を決めたりしたんだけど。その時、私の前に座っていたお母さんが妊婦さんで「最近やたら疲れるんですよね……疲れませんか?」と言う。そのお母さん、20代後半〜30代前半って感じで明らかに私より若いし、まあ妊婦さんだから疲れるっていうのもあるんだろうし、私に同意を求められても……と返事に困ってしまった。そしたら私の隣にいたお母さんが「私はもう、子供はひとり育てるのも大変なのでふたりめなんてとても無理〜」みたいなことを言うので、このお母さんは年齢近そうだなと思ったこともあり、「ですよね。年齢的にも……」みたいなこと言うと、また向かい側にいたお母さんが「いやいや、そんなことないでしょ!」と。

これはもう、ちゃんと言わねばまともな会話ができぬと思い「いやいや私、来週あたりで40になるんで」と言った。そしたら、茶話会を行っていた地区会館の和室全体に響き渡るような声で、周りにいた3人のママが「ええええええーーーーーーーーっ!!!」と絶叫した。あまりの騒ぎに部屋がいったん「しーん」となったほど。「歳下かと思ってました!」だって。「そんなにいってるとは思わなかった!」が本音かもしれないけど!そうか、そんなにびっくりされてびっくりしただよ。

思うんだけど、保育園時代のママたちは仕事バリバリやってて子供を生むのが多少遅くなったけどそれでも仕事続けたいわ!みたいな人が多くてアラフォーのママが多かったんだけど。幼稚園のママたち、仕事をしてる人はやっぱりほとんどいないし、若いし、飲み会大好き(笑)。もしかしたら、歳が20近く離れてても、おかしくない世界なんだもんな。そりゃあ驚くわ。

その数日後にこんなこともあった。子供と電車に乗っていたら、60代半ばか70代くらいの女性たちが3人ほど隣に座っていて、ベビーカーに座る娘に「あら、可愛いわね」と声をかけてくれた。その後、聞こえてきたのはこんな会話だった。「あなた、お孫さんはどうされてるの?」「私の孫はもう結婚したわよ」「え、結婚?いやいや子供じゃなくて孫の話よ?」「そうよ、孫はもう結婚したの」。そこで気付くんだけど。女たちが皆、20代で結婚して子供を生むというバトンを回していけば、60歳すぎで孫が結婚しているという状況もありえるわけだ。

人それぞれ色んな人生があるよなあ、と思う。けど、思いのほか若い幼稚園のママ友たちと上手くやっていけるかなと早速、現実(ジェネレーションギャップ)を目の当たりにしているところです。

まあでも、娘と、娘の子供が、最速でバトンをまわしてくれたら私も孫の結婚、間に合うかもよ。生きてこそ……!

 

パンツ丸出しで号泣!幼稚園生活1ヶ月を終えて。

入園式から3週間、娘の幼稚園生活最初の1ヶ月が終わった。一番骨が折れるのはやっぱり朝の通園で、「幼稚園嫌いなの」「行きたくないの」とゴネる。自転車のタイヤがパンクして歩いて登園することになった朝は最悪で、両サイドに団地が立ち並ぶ道の真ん中で「もう帰る〜!」と泣き叫んで歩こうとせず、あの時は本当に困った。しかし、近くのクリーニング店からおばあさんが出てきて娘に声をかけてくれたり、おそらく年中さんか年長さんの、同じ幼稚園の制服を着た娘さんを自転車に乗せたお母さんが通りががりに「一緒に行こうよ〜!」と励ましてくれたり。こんな光景もきっと最初の春だけの特別なものなのだろう。

娘が団地の脇で泣いてうずくまってどうしようもなかったので旦那に自転車で迎えにきてもらったら、ニコニコして手を振って幼稚園に行った。それ以来、パパと一緒だと機嫌良く行くことも多いので可能な時は朝の送りを旦那にお願いしているが、それでもやっぱり教室の前で先生の顔を見るなり泣き出してパンツ丸出しで抵抗し、いつまでも中に入ろうとしないことも多いらしい。他の子も毎朝泣くメンバーというのがだいたい決まってきて「今日はうちの息子、初めて泣かずに教室入った!」と喜んでいるお母さんも。

うちの娘は通常の14時以降も延長預かりで夕方までお願いしていることも多く、その場合は年少・年中・年長から全ての延長保育の子がひとつの教室にまとめられて一緒に過ごすため、そこではまた別の世界が広がっている様子。迎えに行くと「ママ、遅いよ!」「ママ、何で遅いの?」と言われる。「お仕事してるからだよ」と答えると「お仕事してるの?何回も何回も何回もお仕事してるの?」と私のお迎えの遅さを強調するような問い詰めっぷり。私は、新しい環境には最初にしっかりと慣れておくことが肝心だと思っているので、あえて早い時間にお迎えに行ったりしないでとにかく「慣れない時」をササッと駆け抜けて欲しいと考えていたんだけど。それまで保育園では必ず毎日組み込まれていた「お昼寝タイム」も突然なくなって、やっぱり体も心もしんどいのかな〜と心が揺らぐ。そこで、少し早めにお迎えに行くと、これからみんなで園庭に出て外遊びをするというタイミングだったりして「ママ、来るの早いよ!」「もっと遊びたかった〜!」と逆に怒られたりして面食らう。でも、そんな小さな変化がようやく見え始めて親としてもホッとしているところ。

しかし何でまあ、日本の大型連休・ゴールデンウィークはこんな時期にやってくるかねえ。ようやく慣れ始めた新しい環境から一旦離れてしまうことで何かがリセットされて、また朝の号泣からはじまるんじゃないかと思ってしまいます。大人もそうだよね、だから5月病とかになっちゃうんだろうね。