愛されジョーズ

music writer 上野三樹

いざとなったら電話で相談できる家計簿。

実は昨年の秋から家計簿をつけはじめた。家計管理の本を読んで、まずはざっくりと年間計画を立てて1ヶ月に使える費目ごとの予算を決めることを知った。以上2点だけでも、いかにこれまでの私がお金に関していい加減に生きてきたかを察していただけるかと。お金って銀行にあるぶんが使えるぶんで、買いたいものはそこから使う。そんなクソ単純な考え方で、よく主婦業や母親業がつとまるもんだよね。うん、つとまらないんです。だから意を決して本を読んで勉強して、家計簿をつけたり、予算をたてたりしてお金の流れを気にすること数ヶ月、絶望的なことに気がついたのです。何故か毎月毎月、赤字だってことに。予算の範囲内で暮しているはずなのにおかしいなーと思って旦那に尋ねてみたところ、そもそもいただいている生活費の額を私が勘違いしていることが発覚。しかも数万単位で。私もさすがですよね、勘違いしたまま気づかなかった!「そんなことってあるの?」という主婦の方のご意見、わかります。あるんです(泣)。

というわけで、そもそもの年間予算、組み直し。そりゃあ家計簿つけてようが節約しようが赤字になるわな……。私は完全に心が折れて挫折してしまったのです。

それから数ヶ月。たまたま雑誌で見つけた、羽仁もと子さんという方が考案された家計簿というのをAmazonでポチリました。もう一度、がんばってみようと思ったのです。

速攻で届いたこの家計簿なんですが、113年もの歴史があるという佇まいから、“カリスマ家計簿”のオーラをバシバシに放っています。シンプルかつ伝統を感じさせるデザインの表紙、帯には「記憶より記帳が確か/つけましょう」のコピーが堂々と輝きます。そして更に裏表紙には「5つの特色」として、このように書かれています。 

1 この家計簿をつけていると、ひとりでに予算生活をまもることができます。

2 この家計簿をつけていると、月末にも年末にも、ほとんど計算機をつかわないで、生活費のどの費目も、一目でわかるようになります。

3 毎日、この家計簿に記入していれば、その日までの収支がわかるだけでなく、翌日の適当な支出額が示されます。

4 どんなに経済の下手な人でも、この家計簿をつけていると、しらずしらず一家の財政を健全にすることができます。

5 記入の仕方はごく簡単で、普通のこづかい帳と同じように、誰でもやさしくつけられます。 

この特色を唱えるだけで家計を余裕でまわせるような洗脳感すらありますね。よーし、がんばって家計簿のつけ方をマスターするぞ!と読み進めた矢先に、この「家計簿」とは別にもう1冊「家計当座帳」というのを買わなきゃいけないことを知ります。まずはこの2冊の出費が無駄にならないように、根気良く向き合いたいと思います。

あと、この家計簿(2017年版)を既に5月の今更ながら、買おうと思ったひとつに。

判らないことは「婦人之友社家計簿110番」へお電話ください。

という一文に感動したから。専用ダイヤルがあってお電話で質問できるようです。いざとなったら電話しよう!そう思えたら挫折せず頑張れそうですね(ホントか)。

 

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誕生日にディズニーシーで魂を取り戻した話。

子育てをしていると時々、自分の魂が抜けそうな感覚になることがある。例えば朝からテレビで子供が見ている『クレヨンしんちゃん』をボーッと眺めながら朝ご飯を食べている時。炎天下の公園で子供が遊ぶのを目で追いながら立ち尽くしている時。自分のやりたいこととか楽しいこととかそういう意志がどこにあったのかもわからなくなるような、まさに魂が抜けるような感じ。母親というのは時々そういう時間を生きている。

ゴールデンウィーク最終日の朝、「今日はどこに行くの?」と尋ねる娘に旦那が「じゃあどっか行くか」とネットで調べ始めた。きっと仕事なんだろうなと思っている私は旦那にあらかじめ細かく予定を聞くことはあまりないので「え、今日遊びに行けるの。へえ」って感じで行き当たりばったりなお出かけが始まることもある。そこで候補に挙がったのが「アソボ〜ノ!」という東京ドームシティ内にある家族連れ向けの施設で、おもちゃや遊具がたくさんある人気スポット。東京ドームシティ全体では全国の年間入場者数ランキングで上位に入っているのを先日テレビで見たばかりだし、今日はかなり混んでるだろうなというのは容易に想像つく。あと、広そうなボールプールとすべり台の写真を見た瞬間思ったのは「これ、絶対に魂が抜けるやつや……!」。〈注:もちろん私も子供と一緒に楽しもう!という気持ちは(最初は)あるんだけど、長時間エンドレスに遊び続ける、しかも大量の子供たちの狂騒の中で自分の子を見守り続けるうちに、ふと意識が遠のいて魂が抜けるイメージ〉何と言っても今日は大事な節目となる私の誕生日なのだ。誕生日に魂が抜けることだけは避けたい。というわけで旦那に「どうせ混むところに行くなら親も楽しめる場所にしない?」と提案。半ば無理矢理にディズニーシーに連れて行ってもらうことに。

思えば“ものすごいディズニー好き”ではないけれど20代半ばくらいから、何だかんだ、年に2〜3回はディズニーランドもしくはシーに行っていた。妊娠して子供が生まれてからは全然行けてなくて、それを考えたら4年ぶりくらいに夢の国を訪れた。夢の国はやっぱり裏切らない。バスタ新宿から高速バスで30分、天気は薄曇りで、死ぬほど混んでるってわけでもないし、かなりのディズニー日和。お陰様で家族と嬉しい誕生日を過ごしました。

子連れ初ディズニーはいつにしよう?と思う人も多いと思うけど、3歳にもなると「自分で歩きたい」と「疲れたからベビーカーに乗りたい」の意思表示と選択が可能だし、激しいのは無理だけどメリーゴーランド系のアトラクションやシアター系のアトラクションも楽しめるので、親ものんびり充実した時間を過ごせてちょうど良かったです。子供はエレクトリックレールウェイ(電動式トロリー)みたいな乗り物も大好きだし、アラビアンコーストではジャスミンのフライングカーペットや3Dメガネをかけて観るマジックランプシアターでワクワクな顔をしてたし、マーメイドラグーンでは小さい子が安心して乗れるコースター系もたくさんあるので、小さい子連れの方にもディズニーシーはおすすめです。

ていうかたぶん私はマーメイドラグーンが好きすぎるんだと思う。あの薄暗い海底のパラダイス、ミステリアスでファンシーで、ちょっと気味悪い世界が。行く度に思うんですよね、ああここで暮したいな、って(笑)。

 

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幼稚園ママみんな若い問題。

おやつに子供が食べていたポテトチップをちょっとつまんだら何だか胸やけがして、夜ご飯が食べられなかった連休の初め。その日から朝起きて何か食べるとまた胃が痛い……みたいな日が多くて、何だかアレを感じた。うん……アレよ……歳なんだなあって。今までこんなことなかったよなあって。

連休に入る前、幼稚園でクラスの茶話会というのがあって、そこであらためて自己紹介したり色んな行事の係を決めたりしたんだけど。その時、私の前に座っていたお母さんが妊婦さんで「最近やたら疲れるんですよね……疲れませんか?」と言う。そのお母さん、20代後半〜30代前半って感じで明らかに私より若いし、まあ妊婦さんだから疲れるっていうのもあるんだろうし、私に同意を求められても……と返事に困ってしまった。そしたら私の隣にいたお母さんが「私はもう、子供はひとり育てるのも大変なのでふたりめなんてとても無理〜」みたいなことを言うので、このお母さんは年齢近そうだなと思ったこともあり、「ですよね。年齢的にも……」みたいなこと言うと、また向かい側にいたお母さんが「いやいや、そんなことないでしょ!」と。

これはもう、ちゃんと言わねばまともな会話ができぬと思い「いやいや私、来週あたりで40になるんで」と言った。そしたら、茶話会を行っていた地区会館の和室全体に響き渡るような声で、周りにいた3人のママが「ええええええーーーーーーーーっ!!!」と絶叫した。あまりの騒ぎに部屋がいったん「しーん」となったほど。「歳下かと思ってました!」だって。「そんなにいってるとは思わなかった!」が本音かもしれないけど!そうか、そんなにびっくりされてびっくりしただよ。

思うんだけど、保育園時代のママたちは仕事バリバリやってて子供を生むのが多少遅くなったけどそれでも仕事続けたいわ!みたいな人が多くてアラフォーのママが多かったんだけど。幼稚園のママたち、仕事をしてる人はやっぱりほとんどいないし、若いし、飲み会大好き(笑)。もしかしたら、歳が20近く離れてても、おかしくない世界なんだもんな。そりゃあ驚くわ。

その数日後にこんなこともあった。子供と電車に乗っていたら、60代半ばか70代くらいの女性たちが3人ほど隣に座っていて、ベビーカーに座る娘に「あら、可愛いわね」と声をかけてくれた。その後、聞こえてきたのはこんな会話だった。「あなた、お孫さんはどうされてるの?」「私の孫はもう結婚したわよ」「え、結婚?いやいや子供じゃなくて孫の話よ?」「そうよ、孫はもう結婚したの」。そこで気付くんだけど。女たちが皆、20代で結婚して子供を生むというバトンを回していけば、60歳すぎで孫が結婚しているという状況もありえるわけだ。

人それぞれ色んな人生があるよなあ、と思う。けど、思いのほか若い幼稚園のママ友たちと上手くやっていけるかなと早速、現実(ジェネレーションギャップ)を目の当たりにしているところです。

まあでも、娘と、娘の子供が、最速でバトンをまわしてくれたら私も孫の結婚、間に合うかもよ。生きてこそ……!

 

パンツ丸出しで号泣!幼稚園生活1ヶ月を終えて。

入園式から3週間、娘の幼稚園生活最初の1ヶ月が終わった。一番骨が折れるのはやっぱり朝の通園で、「幼稚園嫌いなの」「行きたくないの」とゴネる。自転車のタイヤがパンクして歩いて登園することになった朝は最悪で、両サイドに団地が立ち並ぶ道の真ん中で「もう帰る〜!」と泣き叫んで歩こうとせず、あの時は本当に困った。しかし、近くのクリーニング店からおばあさんが出てきて娘に声をかけてくれたり、おそらく年中さんか年長さんの、同じ幼稚園の制服を着た娘さんを自転車に乗せたお母さんが通りががりに「一緒に行こうよ〜!」と励ましてくれたり。こんな光景もきっと最初の春だけの特別なものなのだろう。

娘が団地の脇で泣いてうずくまってどうしようもなかったので旦那に自転車で迎えにきてもらったら、ニコニコして手を振って幼稚園に行った。それ以来、パパと一緒だと機嫌良く行くことも多いので可能な時は朝の送りを旦那にお願いしているが、それでもやっぱり教室の前で先生の顔を見るなり泣き出してパンツ丸出しで抵抗し、いつまでも中に入ろうとしないことも多いらしい。他の子も毎朝泣くメンバーというのがだいたい決まってきて「今日はうちの息子、初めて泣かずに教室入った!」と喜んでいるお母さんも。

うちの娘は通常の14時以降も延長預かりで夕方までお願いしていることも多く、その場合は年少・年中・年長から全ての延長保育の子がひとつの教室にまとめられて一緒に過ごすため、そこではまた別の世界が広がっている様子。迎えに行くと「ママ、遅いよ!」「ママ、何で遅いの?」と言われる。「お仕事してるからだよ」と答えると「お仕事してるの?何回も何回も何回もお仕事してるの?」と私のお迎えの遅さを強調するような問い詰めっぷり。私は、新しい環境には最初にしっかりと慣れておくことが肝心だと思っているので、あえて早い時間にお迎えに行ったりしないでとにかく「慣れない時」をササッと駆け抜けて欲しいと考えていたんだけど。それまで保育園では必ず毎日組み込まれていた「お昼寝タイム」も突然なくなって、やっぱり体も心もしんどいのかな〜と心が揺らぐ。そこで、少し早めにお迎えに行くと、これからみんなで園庭に出て外遊びをするというタイミングだったりして「ママ、来るの早いよ!」「もっと遊びたかった〜!」と逆に怒られたりして面食らう。でも、そんな小さな変化がようやく見え始めて親としてもホッとしているところ。

しかし何でまあ、日本の大型連休・ゴールデンウィークはこんな時期にやってくるかねえ。ようやく慣れ始めた新しい環境から一旦離れてしまうことで何かがリセットされて、また朝の号泣からはじまるんじゃないかと思ってしまいます。大人もそうだよね、だから5月病とかになっちゃうんだろうね。

大塚愛『LOVE HONEY』、全面支持。

知人の女性がいつだったか話していた、こんな言葉が頭の中にひっかかっていた。「世の中は芸能人や政治家の不倫だとかって騒いでるけど、実際は旦那が浮気したってそんなに大きな問題じゃないって私は思うんだ」。そしてこうも続けた。「日常の中で私たちはもっと別のところで傷ついてる」と。

これはなかなか深みのある話で、実に夫婦間のリアリティを捉えているのではないだろうか。たとえば相手との関係において許せないことがあって、だけどこの毎日をしっかりと続けていかなきゃいけない時、どんな風にその気持ちを抱えたまま乗り越えていけばいいんだろう。そんな課題があることが恋人と夫婦の(特に子供がいる夫婦の)関係性の大きな違いなんだろう。簡単には終わることなんてできない。どんなに仲が良さそうに見える夫婦だって色んな想いや問題を抱えてる。

そんなことをぼんやりと考えながら「だからこそ私たちには音楽が必要だ」と思った。女同士で心の深い場所でわかりあいながらも、ここではないどこかへ連れて行ってくれて、とびきり楽しく甘い気分にさせてくれるような。

4月12日にリリースされた大塚愛さんのアルバム『LOVE HONEY』はまさにそういう作品だった。

私は彼女に過去3度ほど取材させてもらっている。デビュー前にエイベックスでまだキャピキャピとしていた彼女に会ったのが最初で、そこからすぐにブレイクを果たした後に少し落ち着いた大人の女性になった頃、そして出産を経て更に明るく柔らかなオーラを纏った彼女に会ったのが1年くらい前かな。女性としても大きな変化を遂げながら、彼女の芯の部分には、いたずらな笑みを浮かべる少女がいつもいて、幼少期からピアノと寄り添ってきた特別な想いや、音楽を生み出すことがひたすら好きなクリエイターとしての情熱があって、そこはずっと変わらずに持ち続けているように思う。

音楽的には前作『LOVE TRiCKY』でダンスポップやエレクトロを取り入れていたけど、今作『LOVE HONEY』はそれをもっと自分自身の中に落とし込んでフィットさせながら、軽やかなのに濃厚なポップ・ミュージックを曲ごとに大胆なアイデアを盛り込みながら披露していく。例えば、ちょっぴりオリエンタルなトラックに乗って1曲の中で表参道や中目黒、下北沢から吉祥寺、更には下町のほうまで東京じゅうをお洒落して歩き回る「TOKYO散歩」。80年代シンセ・ポップ調のミステリアスなムードの中で恋をする時の女性の密やかな想いを歌う「make up」など現実逃避願望を満たしてくれるような楽曲も多い。そしてジャズの熱気に満ちたサウンドと大人の色香を感じさせるヴォーカルで《グワグワグワ ゲロゲログワ》なんて歌う「FrogFlag」も実に彼女らしいが、何とも意味深なフレーズが多いのもこの曲。

雨の夜 あたし嘘ついたの

あなたにまだ隠していることが沢山ある

墓場まで持って行くつもりよ

欲しいのはただ一つだけよ

それはあなたじゃない あぁ

 

「FlogFlag」 

 

聴いていて心ごと持っていかれるような踊れる曲が多いし、かといってただの空騒ぎなんかじゃない。“わかってる”大人の女性のための音楽を生み出そうという意志がここにあるんだろう。それが伝わってくるからこそ、私たちはこの音楽に没頭することが出来るし、ふと零れ落ちたような彼女の言葉に、深く頷くことが出来る。そしてラストのバラードがしみじみと切実かつ最高な気分をもたらす。

 

冷たい風にさえ 勝てそうにもない

だけど何かのせいにするつもりもない

誰かを羨んだり 妬んだりしても

ここが晴れ渡って 笑えるわけじゃない

 

それならおチビちゃん この傘どうぞ

君が笑ってるなら それだけでいい

 

「日々、生きていれば」 

 

毎日の中で色んなことが起こるけれど私たちはときどきただひとりの私になる時間が必要で、このアルバムを聴いている時間は、私たちがただの私であることを許してくれる。甘いスイーツを口にしたり、美しいハイヒールで出かけたり、柔らかな雨音に耳を傾けたりーーそんな、ちょっぴり疲れた時に心が求める魔法のような瞬間がギュッと詰まっている。

 

youtu.be

 

このアルバムの発売直前に、あのニュースが世に出てしまったわけだけれど。何となく、制作中から彼女はわかっていたんだろうと思う。

女性としての魅力にも母親としての強さや優しさにも溢れている今作。大塚愛はどんな時にもユーモアと果敢なチャレンジ精神で音楽に向き合える素晴らしいクリエイターであり、そして自分自身に起こったドラマをその時々で楽曲に映し出すことができるタフなシンガーソングライターであることを証明している。

 

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3歳女子のケッコン願望。

ホテルの結婚式場でケーキ入刀をしながら笑っている新郎新婦。そんなありがちだけれど特別なワンシーンを収めた写真をリビングの目立たないところに飾っている。娘は2歳を過ぎたあたりからこの写真がいたくお気に入りで、よく眺めては「これはだあれ?」と聞いてくる。2歳半になった頃には写真に自分がいないことに怒っている様子だったので「あなたはお腹の中にいるんだよ」と教えてあげた。そして3歳になった今はドレスを着ている人=お姫様。隣にいる人=王子様。という認識が彼女の中にある。そしてあらためて尋ねてくるのだ「これは何をしている写真?」「結婚式だよ」「ケッコン!!!!!」

そんなわけで娘3歳の最近の目標はケッコン。よく「のんちゃん(娘)がお姫様で、◯◯くんが王子様。ケッコンするんだー」と言っている。それを聞いて「お前もう結婚すんのか!?」と旦那が悲しんでいる。ちなみに王子様に選ばれた彼は、保育園でいちばん仲が良かった男の子。慣れない幼稚園で娘もお疲れのようだし、久しぶりに一緒に公園でも行きましょうと、王子様のママにLINEしてみた。週末に会えることになり、娘に伝えると大喜びで「のんちゃん◯◯くんとケッコン!!!」と大張り切り。さっそくパパに会社帰りにケッコン用のおやつを買ってきてと頼む用意周到な娘。旦那はその依頼を受け、寂しさをこらえながら「おかしのまちおか」でアンパンマンのペロペロチョコレートや小さなキャラメルコーンなどお祝いに相応しい品々を揃えてきた。


そして迎えた約束の日の朝、起きると王子様のママからLINEが。

すみません、◯◯が昨日の夜からお腹を壊してしまって……

楽しみにしていたのですが来週に延期させてもらっても良いですか

あらら残念。そういえば彼は保育園時代からここぞという時によくお腹を下している男子だった。というわけで娘3歳のケッコンは延期になりました。その悲しいニュースを伝えたら娘が顔を歪めながら言い放ったひとこと。

「ケッコンが我慢できなーーーーーーーい!!!!!」

これには笑いがこらえきれませんでした。
お腹の弱い王子様、次こそよろしくおねがいいたします。 

遂に尾崎世界観さんにお会いした話。

職場結婚なんてのもよくあることだから、同じような仕事をしている夫婦って世の中にはたくさん存在すると思います。私は音楽ライターで旦那は音楽雑誌の編集をしているので、うちも同業者みたいなものです。家庭内で仕事にまつわる話ができたり、大変さが理解できたりとか、そういうメリットもあれば、その逆もあると思います。「やりづれえ!」ってやつです(笑)。

私の場合、初対面のミュージシャンに取材する時に、しかしお相手の方は旦那がいつもインタビューなどでお世話になっていたりするケースが度々あります。そもそも私が結婚後も旧姓のまま仕事を続けていることもあり気づかれにくいですし、もちろん旦那のことに触れずに取材を終えることも多いのですが、先方から「金光さん(旦那)にお世話になっています」と言われる時もあります。それで取材がスムーズにはじめられる場合もありますし、この方にはちゃんとご挨拶しておかねばみたいな方には取材が終わってからこちらからさせていただく場合もあります。先に言うか、後に言うか、このタイミングも悩むところです。いち音楽ライターとしては先に言うのはズルいと思っているふしがあります。

私がもし会ったら初対面なのに「やりづれえ!」ってなりそうな人ランキングのダントツ1位がクリープハイプ尾崎世界観さんです。旦那は何故か彼との取材の時に、家庭内のことを誌面で暴露していることが多いのです。「それ言わないでよ!」的な嫁としては言われたくないネタです。そういう時は全部読んだ後にパンッと勢い良く雑誌を閉じて、1回深呼吸するようにしています。

 

尾崎「……最近、娘さんは元気ですか?」

ーー(旦那)自分からシングルの話するの止めたな(笑)。

尾崎「LINEのアイコンが可愛い娘さんだから」

ーー可愛いだろ。最近チューの使い分け方を憶えた。

尾崎「何ですかそれ?」

ーー普段はチューしてくんないんだよ。でも「おとうしゃん、チューしよ」って言ってくることがあって。その後ほぼ間違いなく、おもちゃをねだられる。「このあんぱんまんのあいすくりーむこうじょうであそびたいの!」って。

尾崎「だから女は……」

(『音楽と人』2016年9月号)

 

まあこのぐらいの娘ネタは全然かわいいもんですよ。他のも引用しようかと思いましたが自粛します(笑)。深夜に家に帰ったら台所に洗い物が山積みで絶望する話とか、床のキッチンマットがズレるので絶望する話とか。あとは固定資産税払い忘れてた話とか、誌面で初めて知ることも!

これらのことで旦那に何か問い詰めるようなことなどしません。自分の具体的なエピソードをまず話すことで、相手の同じようなエピソードを引き出したり、より気持ちよく話していただいたりする、ということはインタビューする側の手法のひとつとしてあることは私も知っています。それで尾崎さんが喋ってくれるなら構わない、そんな思いです。

そして遂にその時が来ました。私にクリープハイプの取材のご依頼をいただいたのです。初めて尾崎世界観さんにお会いします。うちの台所事情まで知られているなんて、初めて会うのに初めて会うような気がしないし、気が気じゃありません。取材現場で撮影を終えて、和やかにいざクリープハイプの皆さんと取材をはじめようという時に、言われてしまいました。

尾崎世界観「いつも金光さんにお世話になってます」

うわー!もうこの時点で恥ずかしさ全開。これはもう、めったにない恥ずかしさでした。

というわけで、クリープハイプの皆さんに取材させていただいた記事が掲載されている『anan』、現在発売中です。 新しいシングルのお話ですよ!

ちなみに現在発売中の『音楽と人』5月号、P 159の編集後記的な記事の中でこんなエピソードが書かれていました。

 

先日、金光の奥さんによるインタビューを一般誌で受けたとかで、それと何かにつけ比較してくる尾崎。「奥さんはそうじゃなかったなあ」「奥さんはもっと優しい聞き方してくれたなあ」「奥さんもっと歌詞聞きこんでたなあ……」と何かにつけて言ってくる。あーやりにくい(笑)。

 

どうやら今回の件で「やりづらさの仕返し」ができたようです。

 

 

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