愛されジョーズ

music writer 上野三樹

“おうち時間”どうでした?ありましたそんな時間?

お父さんが公園でボールを投げて、息子がバットを構えて打ち返している。先日、そんなよくある光景を見かけた。しかしそれはよく見ると「よくある光景」ではなかった。お父さんが投げているのは実はボールではなくバドミントンの羽根で、息子はそれを器用にバッドで大きく打つと、なんとお父さんの背面から数メートル離れた後ろ側に、バドミントンのラケットを構えた娘さんがいてそれを華麗に打ち返すのである。何ともお見事。おそらく、リモートワークで体がなまってきた父親と、休校で部活も出来ない野球部の息子さんと、同じくバドミントン部の娘さんが、共に体を動かすために考え出されたチームワーク抜群のシステム。2020年の春はコロナ禍であっという間に失われてしまったけれど、そんな光景を見れたことはささやかながら何だか得した気分だった。少し外を歩くだけで、縁側で娘さんに髪を切ってもらっている御婦人の姿や、庭にテントを張ってキャンプ気分を味わっている子供と母親の姿とか、普段だったら見られなかった日常がそこかしこに溢れていた。

うちの子供の小学校で入学式がかろうじて行われた翌日、4月7日に緊急事態宣言が出されてからの完全自粛モードの日々が、ようやくひとつの出口に差し掛かっている今日この頃。毎朝、家族全員で体温を測ること、ラジオ体操をすること、新聞を読むこと、そんな新しい習慣がいくつかあった。小1になったばかりの娘は、学校に全く通えないまま、なわとびができるようになり、自転車にも乗れるようになった。一番びっくりしたのは、入学前に用意した体操着を着せてみると、もうサイズが小さくなっていて、パツパツで自分で脱ぐことが出来なかった。これにはショックと同時に、家にいてばかりだったこの2〜3ヶ月でも子供はかなり成長しているんだとひしひしと感じた。

とりあえず6月からは(早ければ今月末からは)東京でも少しずつ「新しい日常」とやらに移行していく様子。まだまだ色んな問題が山積みだし、そもそもみんなさんざん自粛疲れ(特に休校中の子供がいながら仕事をしていた人たちおつかれさま)していると思うので、ゆっくりペースで、やらなきゃいけないことも楽しいことも、取り戻していきましょう。結局、なんだかんだで「おうち時間」的なのんびり優雅な時はあんまり過ごせなかったなあ。

 

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ひとまずビールでも飲も…